概要
腸内細菌を活用した医療・創薬ベンチャー「メタジェンセラピューティクス」の主軸となるプラットフォーム『ちょうむすび』は、健康な人の腸内細菌を活用し、難病治療を目指す新たな医療・創薬の基盤となる、日本初”うんち”のドネーションプラットフォーム。ドナー認定に至るまでの複雑な検査プロセスと、ドナー継続に必要な健康管理を支える機能、便の提供に伴う心理的な障壁を取り除く献便空間のユーザー体験を、アプリと献便施設一体で構築。排泄という行為を、抵抗なく医療とつなぐ新しい社会参加のデザインを行いました。
プロジェクトアプローチ
うんちのドナーになるための複雑なプロセスを、負担や苦痛ではなく、自分の腸内環境を知るあたらしい健康体験に転換。私たちは、日本初の腸内細菌ドネーション支援プラットフォーム『ちょうむすび』を開発。ドナー認定に必要な「腸内細菌検査」をリデザインし、腸内細菌の多様性や構成比を一目で把握できる「腸内環境レポート」機能を実装。健康への新しい気づきが継続的なドナーへのモチベーションとなる設計としました。ドナー認定・継続を後押しするインセンティブ設計から、献便への抵抗を軽減する配慮に満ちた専用施設「つるおか献便ルーム」の空間開発まで、一貫したUXとして設計。アプリと空間を行き来する、継続可能な未来の医療参加体験をかたちにしました。
具体的な取り組み
2025年4月、山形県鶴岡市にて『ちょうむすび』のサービスを正式に開始。腸内細菌ドナー専用の常設施設「つるおか献便ルーム」も同時に開所しました。非水洗のドネーショントイレや、隣接する検査施設へ便を直接搬送する専用ボックスなど、提供行為のための設備でドナーの受け入れを開始。開所から2ヶ月で、庄内地域のみに限定した募集にも関わらず、年内の受入予定数を超える500名以上から応募が寄せられました。開所式には国や自治体の行政関係者、地域の病院関係者らが出席し、産官学を巻き込んだ関心が集まりました。TBSや山形新聞など複数のメディアでも報道され、未来の医療と生活者の新しい関わり方を提起する取り組みとして、大きな注目を集めました。
今後の展開
2025年6月には、ドナーの便を活用した治験薬の製造を開始。現代社会において治療の効果的なソリューションがないとされる潰瘍性大腸炎や大腸がん・胃がん・パーキンソン病などの難病を、これまでとは全くことなる科学的着眼点で取り組むプロジェクトとして、今後の創薬のスタート地点として機能。順天堂医院をはじめ、複数地域の医療機関とも連携を開始し、「ちょうむすび」は東京での展開をはじめ、他地域にも拡大を続けていく計画です。